令和5年度「歯・口の健康に関する図画・ポスターコンクール」「歯・口の健康啓発標語コンクール募集ポスター
令和3年度歯・口の健康啓発標語コンクール 大阪市代表
日本歯科医師会・日本学校歯科医会主催コンクール最優秀作品
茨田中学校 3年
藤原ひよりさん
令和3年度歯・口の健康に関する図画ポスターコンクール
日本学校歯科医会入賞作品
(大阪市代表)優秀賞
工芸高等学校3年
山下瑞葵さん
平成27年度歯・口の健康に関する図画ポスターコンクール
日本学校歯科医会入賞作品
(大阪市代表)優秀賞
鶴見小学校1年
武部彩花さん
学校歯科医だけでなく全国の学校保健会関係者が一堂に会して行われる全国学校保健大会は、文部科学省、日本学校保健会、担当都道府県の学校保健会と教育委員会が主催者となって毎年11月頃に開催されます。平成25年で63回を数える伝統ある大会で、全国から約1500名が集まり、子どもの健康課題をテーマにした記念講演や実践研究発表、研究協議が行われています。
初日は全体会の会場で開会式と文部科学大臣表彰の表彰式が行われ、記念講演も行われます。その後、会場を変えて学校歯科医だけの全国学校歯科医協議会が開催され、再度の学校歯科関係の文部科学大臣表彰者が紹介されて、シンポジウムがおこなわれます。
これは学校歯科保健の課題をテーマにして学識者代表、学校歯科医代表、学校現場の代表がシンポジストとなってそれぞれの立場からさまざまな学校保健の実践内容などが提供されます。終了後は懇親会が開催され、全国から集まった学校歯科医の情報交換の場となります。翌日は課題別研究協議会が開催されますが、これは10の研究課題に分かれており それぞれの会場で研究協議題のもと、学識者の講義と3人の研究発表者による学校保健活動の実践報告が行われます。大阪市学校歯科医会は「歯・口の健康づくりの研究課題」に参加して、全国各地のさまざまな学校歯科保健教育の実例を持ち帰って役立てるようにしています。
令和6年度全国学校保健・安全研究大会
主 題 生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる力を育む健康教育の推進
~主体的に健康課題の解決に取り組み、学びを現在から未来につなげることが
できる子供の育成~
期 日 令和6年11月7日(木)、8日(金)
開催方法 参集開催及びオンデマンド配信
※オンデマンド配信は「記念講演」と「課題別研究協議会」のみ配信
開催地及び会場
開催地 宮崎県宮崎市
会場 シーガイア・コンベンションセンター
参加者 西本達哉、梅山勇樹
日 程
1日目 全体会(11月7日)
1.開会式・表彰式(13:00~14:00)
(1) 開会のことば
(2) 国歌斉唱
(3) あいさつ 文部科学大臣
公益社団法人 日本学校保健会会長
宮崎県実行委員会会長
(4) 祝辞 宮崎県知事
(5) 歓迎のことば 宮崎市長
(6) 来賓紹介、主催者紹介
(7) 表彰式
ア.受賞者紹介
イ.表彰状授与
「学校保健の部」 代表:宮崎県 柴田 博(学校医)
「学校安全の部」 代表:宮崎県 宮崎県立門川高等学校
「学校安全ボランティア活動の部」
代表:宮崎県 福島コミュニティ・アンド・スクールガード隊
ウ .謝辞 代表:兵庫県 柴田 博
(8) 閉会のことば
2.記念講演(14:30~16:00)
演題 「子供の身体活動・運動の現代的課題と解決策
~今。学校・地域・社会がやるべきことは何か?~」
講師 東京大学大学院医学系研究科
公共健康医学専攻 健康教育・社会学分野
講師 鎌田真光
講演内容は1.身体活動・運動と健康 2.子供の身体活動の現状 3.子供の身体活動の促進のポイント の3つで、目的として子供の身体活動・運動の現状を理解し、問題解決に向けて。明日から取り組める具体的な行動を考えるとともに、他の学校保健・安全上の課題解決にも応用できるポイントを学ぶであった。
背景には運動不足は現代の「サイレント・キラー」で身体活動不足は様々な疾病・障害のリスクを高めるがある。因みに日本人の死亡原因の第3位が身体活動の不足となっている。こどもへの推奨事項として身体を動かす時間が少ないこどもには、何らかの身体活動を少しでも行うことを推奨する、中強度以上(3メッツ以上)の身体活動を1日60分以上行う、高強度の有酸素性身体活動や筋肉・骨を強化する身体活動を週3日以上行う、座りっぱなしの時間、特に余暇のスクリーンタイム(学習以外でTV、DVD,ゲーム機、スマホ、パソコンなどの画面を視聴する時間)を減らす。まずは1分、1秒でも動いてみる、立ってみる。日本と世界の子供の身体活動で関するレポートカードでは、割と良い状況と言える。しかし年々増加するスクリーンタイム、運動する子供としない子供の二極化、活動的な通学手段の地域差、社会経済的状況が良い世帯の子供ほどアクティブなどの問題点がある。
身体活動と安全を両立する解決策の一つとしてスクールバスの徒歩区間設定(遠隔下車)を紹介された。学校の手前500mで下車し、そこから歩いて登校する。この背景には小学校の統廃合でスクールバスの導入がある。
講演のまとめとして
1.「運動(身体活動)不足」は「人類の進化」とのミスマッチ
子供から成人へと引き継がれる大きな健康課題
2.一日の流れ・場面ごとに身体活動のチャンスを探る!
3.学校だけでは出来ないことは、うまく地域や関係機関を巻き込む
4.対象者(子供)のために。対象者と共に(For&With)
5.小さな取り組みが、大きな社会変革のはじまり”
まずは一歩、踏み出してみませんか?
2日目 課題別研究協議会(11月8日 9:00~15:30)
第1課題 学校経営と保健組織活動 第2課題 保健管理
第3課題 心の健康 第4課題 現代的健康課題
第5課題 歯・口の健康づくり 第6課題 学校環境衛生
第7課題 喫煙、飲酒、薬物乱用防止教育 第8課題 学校事故防止教育
第9課題 教科等における安全教育 第10課題 関係機関等との連携による安全の体制整備
第74回全国学校歯科医協議会 次第
日 時:令和6年11月7日(木)午後3時30分
会 場:シーガイヤコンベンションセンター 3F「瑞洋」
司会:宮崎県歯科医師会専務理事 根井俊輔
開会の辞 宮崎県歯科医師会副会長 佐野裕一
挨 拶 宮崎県歯科医師会会長 上窪高志
日本学校歯科医会会長 柘植紳平
来賓祝辞 文部科学大臣 あべ俊子
宮崎県知事 河野俊嗣
宮崎県教育委員会教育長 黒木淳一郎
日本学校保健会会長 松本吉郎
宮崎市長 清山知憲
大臣表彰受賞者紹介
前回開催県報告 兵庫県歯科医師会会長 橋本芳紀
次期開催県挨拶 神奈川県歯科医師会会長 守屋義雄
司会:宮崎県歯科医師会
学校歯科担当理事 野間隆文
講演
児童生徒の健康格差の問題および新型コロナウイルス感染症の影響について
講師
国立大学法人 東京科学大学 大学院歯学総合研究所
歯科公衆衛生学分野 教授 相田 潤
8020達成者の増加という話をよく聞くが、1981年と2022年を比較して75歳以上で自分の歯が19本以下の割合は減少傾向にあるのに対して、実は19本以下の人数が増加傾向にある。
これは1981年に比べて2022年では75歳以上に人数が大幅に増えているため、割合では減っていても実際の人数は増加しているというカラクリ。また3歳児・12歳児の一人平均う蝕歯数は
年々減少傾向にあることも有名。ただ同じ人を追跡調査すると3歳の時に比べて5歳になった時
の方がう蝕歯数は増加傾向になる。つまり3歳児・12歳児の一人平均う蝕歯数が減少傾向だか
らと言って、歯科疾患の対策が不要になってくることなどはあり得ない。
骨太の方針2024で国民皆歯科健診の報道が出た際、残念ながら有識者が業界利益のためにす
るのではないかというような批判が出た。これは8020達成者の増加や幼少期のう蝕歯数の減少
だけをアピールし過ぎてしまって、歯を欠損している人の増加や年齢を重ねることでう蝕歯数
の増加をアピールできていないことに起因していると考えられる。
健康日本21(2013)の基本的な方針として健康格差の縮小が挙げられた。相田先生の調査で
は、所得が高い地域では3歳児う蝕有病者率低く、所得が低い地域では有病者率が高いデータ
があり、子どものう蝕有病者率は親の所得や学歴に影響を受けることが分かった。また成人の
歯周病罹患率も職業間で有意差が生じることも分かった。社会的な状況が子どものう蝕から高
齢者の歯の喪失まで幅広く関与することが分かった。
健康格差の縮小で難しいところは、健康教育をすることで富裕層では改善するのに対し貧困
層では変化が少なく逆に格差が拡大してしまうところである。貧困層では『知らないからやっ
ていない』のではなく『知っていてもできない』という状況が一番の問題であるだろう。
健康格差を減らす目的で、学校園でのフッ化物洗口の推進と2022年版マニュアルが厚生労働
省から発表されている。健康格差を減らすためには全員に対策をして、さらに貧困層にたくさ
んのメリットがあることをするべきで、水道水フロリデーションは最も貧しい人で最も効果が
多い。また学校保健活動ではフッ化物洗口を取り入れることで健康格差の縮小につながる。
子どもの頃の集団フッ化物洗口は大人のう蝕減少にも寄与するデータがあり、子どもの頃の行
動や健康は生涯を通じて影響する。
閉会の辞 宮崎県歯科医師会副会長 黒木晃一
第74回全国学校歯科医協議会懇親会 次第
日 時:令和6年11月7日(木)午後6時30分
会 場:シーガイヤコンベンションセンター 4F「蘭玉」
司会:宮崎県歯科医師会理事 林 正太郎
挨 拶 宮崎県歯科医師会会長 上窪高志
乾 杯 神奈川県歯科医師会会長 守屋義雄
開 宴
閉会の辞 宮崎県歯科医師会副会長 佐野裕一
令和5年度全国学校保健・安全研究大会
主題 生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる力を育む健康教育の推進
~自ら健康課題の解決に取り組み、未来を切り拓く子供の育成~
期日 令和5年10月26日(木)、27日(金)
開催方法 参集開催及びオンデマンド配信
会場 1日目 神戸文化ホール
2日目 神戸文化ホール・神戸市立中央体育館
参加者 西本達哉、川上力、讃井茂行、弘田和彦
日程
1日目 全体会(10月26日)
1.開会式・表彰式(13:00~14:00)
(1) 開会のことば
(2) 国歌斉唱
(3) あいさつ 文部科学大臣
公益社団法人 日本学校保健会会長
兵庫県実行委員会会長
(4) 祝辞 兵庫県知事
(5) 歓迎のことば 神戸市長
(6) 来賓紹介、主催者紹介
(7) 表彰式
ア.受賞者紹介
イ.表彰状授与
「学校保健の部」 代表:兵庫県 内海 清史(学校薬剤師)
「学校安全の部」 代表:高知県 土佐市蓮池小学校
「学校安全ボランティア活動の部」 代表:兵庫県 渦が森小学校渦っ子見守り隊
ゥ.謝辞 代表:兵庫県 内海 清史
(8) 閉会のことば
2.記念講演(14:50~16:20)
演題 「ネット・ゲーム依存の成り立ちと対応」
講師 神戸大学大学院医学研究科・医学部デジタル精神医学部門 特別教授 曾我 一郎
急速に発達した情報通信技術によりコンピューターは、個人で利用できるようになった。その後インターネットが開発され飛躍的に機能が向上し、商用化され持ち歩けるコンピューターであるスマートフォンが21世紀になって登場した。オンラインゲームやソーシャルネットワーキング・サービスが社会生活の一部になりネット・ゲーム依存という精神疾患が出現した。
「依存症」は、精神疾患の中でも最も理解が得られにくい病気の一つといえる。日常生活での「依存」は、自らコントロールできるが、精神疾患である「依存症」では、行動や薬物の使用を自ら止めることができない。かつてはアルコールや薬物へ依存する人たちは意思が薄弱であるとか、人格に障害があると見なされていたが、現在では「依存症」として一定の理解が得られている。今回「ネット・ゲーム依存の成り立ちと対応」について講演がなされた。
1.ネット・ゲーム依存の現状
2.ネット・ゲーム依存の成り立ち
3.ネット・ゲーム依存の診断
4.ネット・ゲーム依存の併存する精神疾患と身体に与える影響
5.ネット・ゲーム依存への対応の基本
6.ネット・ゲーム依存に伴う問題行動への対処
2日目 課題別研究協議会(10月27日 9:00~15:30)
第1課題 学校経営と保健組織活動 第2課題 保健管理
第3課題 心の健康 第4課題 現代的健康課題
第5課題 歯・口の健康づくり 第6課題 学校環境衛生
第7課題 喫煙、飲酒、薬物乱用防止教育 第8課題 学校事故防止教育
第9課題 教科等における安全教育
第10課題 関係機関等との連携による安全の体制整備
令和4年度全国学校保健・安全研究大会
副会長 藤野 康徳
主題 生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる力を育む健康教育の推進
~多様化する健康課題の解決に向けて主体的に取り組む子供の育成~
日時 令和4年11月10日(木)、11日(金)
会場 岩手県盛岡市 盛岡市民ホール
参加者 藤野康徳 西川肇
日程(1日目 11月10日)全体会
1 開会式・表彰式(13:00~14:00)
(1) 開会のことば
(2) 国歌斉唱
(3) あいさつ 文部科学大臣 永岡 桂子
公益社団法人 日本学校保健会会長 中川 俊男
岩手県実行委員会会長
(4) 祝辞 岩手県知事 達増 拓也
(5) 歓迎のことば 盛岡市長 谷藤 裕明
(6) 来賓紹介、主催者紹介
(7) 表彰式
「学校保健の部」 代表:岩手県 阿部 昭弘(学校医)
「学校安全の部」 代表:秋田県 大館市立成章中学校
「学校安全ボランティア活動の部」 代表:福島県飯豊地区安全ボランティア
代表:阿部 昭弘
(8) 閉会のことば
記念講演(14:30~16:00)
演題 「災害などで傷ついた子供の回復支援と心の健康教育」
講師 兵庫県立大学院 減災復興政策研究科 特任教授 冨永 良喜
表彰式において、元大阪市立茨田中学校の宮本幸子先生が、学校保健・安全の功労者に対する文部科学大臣表彰を受賞された。宮本先生は養護教諭、また保健主事として長年ご活躍されたことが評価された。誠におめでとうございます。
記念講演においては、近年多発する災害や事件後の子どものストレスとトラウマについて、特に岩手県においては、東日本大震災後の岩手県教育委員会の心のサポート授業について報告があった。中傷防止のサポート授業では、「悪口言う友達に対して怒りの感情がわくのは自然ですが、行動は冷静な行動を心がけましょう」とメッセージを送り、落ち着くための呼吸法を実演した。この「出来事―思考―感情―行動」の認知のトライアルは、鬱や、PTSDのカウンセリングの主要成分である。様々な出来事に直面した時、自分の心のつぶやきを考え、落ち着いて合理的なつぶやきを探す習慣を身に着けることは、人生を生き抜く力になる。道徳を含めた「心の健康授業」の全学年・制度化が喫緊の課題である
11月11日 (第2日目) 課題別研究協議会 9:30~
第1課題 学校経営と保健組織活動 第2課題 保健管理
第3課題 心の健康 第4課題 現代的健康課題
第5課題 歯・口の健康づくり 第6課題 学校環境衛生
第7課題 喫煙、飲酒、薬物乱用防止教育 第8課題 学校事故防止教育
第9課題 教科等における安全教育
第10課題 関係機関等との連携による安全の体制整備
第2課題 保健管理 指導助言
「健康の保持増進を目指す学校、家庭及び地域との連携を図った保健管理の進め方」
長野県教育委員会事務局保健厚生課 主任指導主事 小田切 優美
研究発表 「 健康の保持増進を目指した健康診断の事前指導及び事後処置について」
北海道枝幸郡中頓別町立中頓別小学校 養護教諭 木野下 珠紀
「 特別支援学校における災害等に備えた保健管理の取り組み」
岩手県立宮古恵風支援学校 教諭 千崎 友里子
「コロナ禍における子供たちの心身の健康の保持増進を目指して」
~感染症への対応を通して
山梨県山梨市立後屋敷小学校 教諭 前嶋 真理子
第5課題 歯・口の健康づくり 講義
『健康は歯から口から笑顔からすぐに役立つ「コロナ禍でもできる歯・口の健康づくり」』
公益社団法人 日本学校歯科医会 副会長 柘植 紳平
新型コロナウイルス感染症は「歯みがきとフッ化物洗口は飛沫が発生するから危険だ」という風評が立ち、中止になったままの学校が数多くある。しかし、昼食後の歯みがき等、口の中の衛生を保つことはウイルス感染症予防の基本であり、児童・生徒がお互いに距離を確保し間隔をあけて換気の良い場所で行うよう、感染のリスクに配慮することが大切である。
また、コロナ禍においては、ICTを活用した歯・口の健康づくりを推奨したい。すなわち自分の口の中を染め出しタブレットで自撮りして汚れ具合を評価し点数化して改善につなげるという方法で、子どもたちは楽しみながら、主体的に深い学びを行うことができる。
主 題 生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる力をはぐくむ健康教育の推進
~主体的に健康課題の解決に取り組み未来を拓く子供の育成~
主 催 文部科学省、埼玉県教育委員会、さいたま市教育委員会、
(公財)日本学校保健会、埼玉県学校保健会
期 日 令和元年11月21日(木)・17日(金)
会 場 ソニックシティ(埼玉県さいたま市大宮区)
内 容 (1)全体会
・開会式
・表彰式
大阪市からは墨江小学校の東邦裕校長と当会の長崎三男副会長が
文部科学大臣表彰を受けられました。
・記念講演
講演内容 「子供のインターネット利用と健康」
講 師 埼玉大学 教育学部 教授 戸部 秀之
(2)課題別研究協議会 第5課題 歯と口の健康づくり
①神奈川県立茅ケ崎養護学校 総括教諭 一瀬 恵理
②栃木県宇都宮市立鬼怒中学校 養護教諭 棚原 梨紗
③埼玉県羽生市立新郷第二小学校 養護教諭 熊木 和美
・講師 日本学校歯科医会 副会長 柘植 紳平
・指導助言者 愛知県立瀬戸高等学校 校 長 丸山 洋生
令和元年度 全国学校保健・安全研究大会に参加して
常務理事 上田裕彦
・全体会
開会式に続き、表彰式では学校保健と学校安全の功労者に対して表彰が行われた。大阪市からは、墨江小学校の東 邦裕校長と当会副会長の長崎 三男先生が受賞された。
・記念講演
「子供のインターネット利用と健康」 埼玉大学 教授 戸部 秀之
すでに多くの児童生徒がインターネットを利用しているが、忘れてならないのはインターネットの利用には「光」と「影」があることだ。埼玉県学校保健会では以前から各種メディアの使用について調査を行い、県内に広く警鐘を鳴らしてきた。平成29年度には、児童生徒のインターネットの利用実態や健康・安全との関連、および保護者の意識等について調査を行った。
そして、調査の結果を検証し次のように提言を行った。
*児童生徒のインターネット利用の実態について理解を深める。
*インターネット依存傾向に着目して、多様な問題発生を予防する。
*発達段階に応じたルールづくりや親子での話し合いを推進する。
*生徒の意識・実態を踏まえた集団・個別の保健指導につなげる。
*家庭における子供のICT危機利用お実態について理解を深める。
*将来の問題発生の可能性を踏まえ、年少児へのICT機器の与え方を考える。
・課題別研究協議会 第5課題 歯と口の健康づくり
①神奈川県立茅ケ崎養護学校 総括教諭 一瀬 理恵
「児童生徒の自立に向けた口腔ケア・摂食指導のための教職員研修と児童 生徒実態把握の試み」~推進事業1年目の取組~
歯・口の健康や口腔ケアに関して多様な課題を持つ児童生徒が在籍していることから、学校歯科医や関係機関と連携し、保護者を交えた様々な取り組みを進めてきた。歯科検診前の事前指導やBGM、アロマ等の使用で緊張感を緩和する環境づくりに努めている。
教職員の世代交代が進み、若い教職員や特別支援学校での経験年数が少ない教職員が増加している。専門知識や指導方法、家庭への支援方法等を継承していくことが課題となっている。
②栃木県宇都宮市立鬼怒中学校 養護教諭 棚原 梨紗
「自ら健康な生活を実践できる生徒の育成」
~歯・口の健康づくりを通して~
学年進行に伴いCO、GO、Gの割合が増加する傾向に着目し、生徒の口腔衛生に対する意識の改善を目指して教育活動を展開した。
全教員を授業研究部、研究推進部、評価部の三つに分けて開始した。授業研究部では、歯・口に関連する教材を洗い出し、系統性と関連性に着目して小中9年間の題材を整理し、指導計画を作成した。研究推進部では、生徒保健委員会を活用して健康な歯肉と歯肉炎の模型を作成し触ることができる教材を展示した。評価部では、「健康な歯模範生徒」を表彰するなど、興味・関心・意欲の喚起を図った。さらに、保健だより、学校HP、掲示板を工夫し、関心を高められるようにした。
③埼玉県羽生市立新郷第二小学校 養護教諭 熊木 和美
「生涯にわたり、自分で自分の健康を守ることができる児童の育成を目指して」~学校・家庭・地域・関係機関との連携・協働を通して~
生涯にわたる歯科保健活動を積極的に推進し、市立小中学校の取組は毎年県学校歯科保健コンクールで高い評価を受けている。
学級活動として歯科衛生士による「1年親子歯みがき教室」、担任と学校歯科医による6年生を対象とした「よくかむことの大切さ」をテーマにした授業を実施している。歯と口の健康週間には「歯みがき名人」を表彰することで、意欲喚起を図っている。また、毎日の「歯みがきタイム」を評価する「歯みがきかがやき賞」、「歯みがき音楽」の工夫、「クラス対抗歯みがきグランプリ」、「目と口の体操」、毎月第三水曜日に全校で染め出し検査を行う「マイ歯ッピーチェック」など多彩な活動をしている。
さらに、児童が市内在住の8020達成者を訪ねて留意点をインタビューするなど地域と連携した取組、歯科保健に関心の低い家庭への働きかけにも取り組んでいる。
日 時 令和元年11月21日(木)15時30分
会 場 パレスホテル大宮 3階 チェリールーム
・開会式
・文部科学大臣表彰者紹介
・講 演 「マウスガードの有効性とより安全性の高いマウスガード」
東京歯科大学 口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室教授
武田 友考
・シンポジウム「マウスガードをより広く普及させるには」
座長 埼玉県歯科医師会前常務理事・学校歯科部長 齋藤 秀子
シンポジスト
東京歯科大学 口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室教授
武田 友考
立正大学ラグビー部監督 堀越 正己
・懇親会 パレスホテル大宮 4階 ローズルーム
第69回 全国学校歯科医協議会に参加して
常務理事 上田裕彦
開会式において、文部科学大臣表彰の受賞者が紹介された。その後、講演が行われた。
・講 演
「マウスガードの有効性とより安全性の高いマウスガード」
東京歯科大学 口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室教授 武田 友考
マウスガードの顎口腔系障害への予防・軽減効果は、実験的、疫学的に立証され、スポーツ関係者のマウスガードへの認知度は高まり、その普及も進んでいる。しかし、マウスガード装着時の外傷が少なくないこと、咬合関係の適切でないマウスガード使用によるデメリットがあることも事実である。バキュームタイプやラミネートタイプのカスタムメイドのマウスガードはその効果が高いが、コンタクトスポーツにおける選手の大型化やプレースタイルの変化などにより、通常のマウスガードでは防ぎきれない外傷もあるようだ。そこで、より安全性の高いマウスガードの開発、普及が望まれる。その一つとして、改良型一枚法マウスガード(EVA材使用)がある。これは、前歯部開咬などで、通常の一枚法では前歯部の安全に不可欠な閉口時の前歯部の接触が付与できない場合に有効だ。また、より積極的に上顎中切歯、補綴歯、外傷既往歯などを保護することを目的に、ハードアンドスペースタイプのマウスガードがある。これは、2枚のEVA材の間にアクリルやPET材の硬性材を入れることで、衝撃力を広く分散することで、より安全性を高める。また、マウスガードの内面と頬側歯面との間に0.5から1.0㎜の緩衝スペース設けたものだ。このタイプのマウスガードの普及を拡大すべく、製作を容易にし、かつ安全性を担保した光重合タイプの硬性材を開発してきたので紹介する。本日の講演が、生徒、学生、スポーツ選手、国民の外傷の軽減・予防に役立てれば幸いである。